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第9回/石徹白フィッシャーズホリデー
 
▼ 2008 渓流エコロジスト会議/レポート ▼
     
 
2008年6月7日(土)午後2時〜 / 石徹白フィッシャーズホリデー特設会場にて
 
     
 

 “石徹白フィッシャーズホリデー”では、イベントのメイン行事と位置づけている「渓流エコロジスト会議」が開催されてます。河川を釣り場として管理している漁協や行政の関係者と、利用者である釣り人が釣り場の管理や環境問題などについてそれぞれの意見を交換しより良い河川環境を考えていこうと言うものです。この会議も今年で第9回を迎えましたが当初の4回は「キャッチ&リリース・ミーティング」というタイトルで、おもにキャッチ&リリースの有効性などについての意見交換がメインでした。キャッチ&リリースの有効性や効果は誰もが認めるようになった今では、釣り場を取り巻く環境をもっと幅広く考えていこうということを主な議題とした会議となっています。会議のコーディネーターは愛知工業大学の教授でテンカラ釣りの名手である石垣尚男氏、またフィッシングジャーナリストの佐藤成史氏にパネラーをお願いしております。なお、ご両人には第1回から今年の第9回まですべての会議に参加していただいております。

 
     
 
渓流エコロジスト会議の模様
 
     
 

 さて今年の会議は、今回お願いしたお二人の特別講師の講演を聞くことからのスタートでしたがどちらの話も釣り人にとって大変勉強になるお話しでした。

はじめの講演は水棲昆虫が専門の愛知工業大学准教授・内田臣一氏に、昨年から峠川で続けて下さっている重油流出事故の影響の追跡調査の報告をスライドを交えながら報告していただきました。
水棲昆虫の生息状況からの推察では重油流出の影響はもうほとんど解消されただろうということでしたが、上流にある観光施設(浴場)からの排水の影響と推察できる富栄養化かかなり進んでいることが報告されました。施設の排水溝の劣悪の状況がスライドにより公開されましたが参加者から驚きの声があがっておりました。ただ現行の水質汚濁法上は谷の源流部も海に近い平野部も同じ基準値なのでたぶん基準上は問題とならないだろうと言うこととでありましたが、いずれにしても何らかの対策をしてもらいたいという意見が多く出ておりました。

 これは余談ですが、ここ数年峠川の魚達のサイズとコンディションがますます良くなっている理由はこのあたりに起因しているかも知れません。とにかく水棲昆虫の生息密度がやたら濃いそうですから、ただしこれ以上富栄養化が進むと深刻な問題になる予感がします。


  そして、二人目の講演は高原川漁業協同組合参事の徳田幸憲氏からの産卵用人口河川の造営とその有効性についてこちらもスライドを見ながらの講演となりました。今までのように増殖とは魚を放流する行為だけという考えではなく魚たちの自然産卵による再生産の重要性とそれがサイクルするように人の手で手助けすることも増殖行為と認めるという考え方に水産行政側においても柔軟に理解を示し、むしろ支援してくれるような体制になって来ているそうです。私としてはそれを聞いて石徹白で10年前に初めてキャッチ&リリースが運用された頃と比べ信じられないような行政側の変わりようなんですが、日本の釣り場管理はようやく大きな変換期を迎えたのかもしれません、もしそうだとしたら峠川は間違いなくその足がかりを作った場所のひとつと言えるハズです。

 
     
 
石徹白キャッチ&リリース区間
 
     
 

 石徹白川支流 峠川C&R区間はたった3.2キロメートルというほんの短い区間と言え、放流魚にいっさい頼らない釣り場管理の先例…今の峠川はもう5年間一切放流していません…として全国的に見てもとても貴重な手本となってくるのではないかと実感しました。 これから私達ができることはこの奇跡のような釣り場を釣り人と漁協が一致協力して守っていくことだと考えます。

 
     
 

 以上簡単ですが今年の「渓流エコロジスト会議」の報告とさせていただきます。また最後になりましたが会議に参加し貴重な意見を活発に議論してくださった皆様には心よりお礼申し上げます。

 
     
 

 なお、来年2009年6月6日(土)は第10回「渓流エコロジスト会議」となります。例年以上に活発な意見交換や勉強会ができますよう実行委員一同で皆様をお迎えする所存でおります。

 
     
     
石徹白フィッシャーズホリデー実行委員会
   
             
       
斉藤彰一
   
 
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